この記事では、マイホーム借り上げ制度について、特にJTI(移住・住みかえ支援機構)の仕組みを中心に解説します。
この制度を利用することで、持ち家を家賃保証付きで貸し出し、安定した収入を得ながら、老後の住み替えや移住の選択肢を広げることができます。
空き家になる心配もなく、相続対策にもなります。しかし一方で「デメリットもある」といわれます。そのデメリットとはいったい何でしょうか?
この記事を読むことで、以下の内容がわかります。
- マイホーム借り上げ制度とJTIの仕組み
- 制度のメリットとデメリットの比較
- リバースモーゲージやリースバックなど、類似制度との違い
マイホーム借り上げ制度(JTI)の仕組みと注意点

一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)のマイホーム借り上げ制度は、50歳以上の方などが所有する住宅をJTIが借り上げて転貸し、安定した賃料収入を保証する制度です。
この制度は、老後の住み替えや空き家の活用を考えている方にとって、魅力的な選択肢の一つとなります。
制度の概要と利用の流れ
マイホーム借り上げ制度は、JTIが皆さんのマイホームを借り受け、「貸主」として入居者に転貸(又貸し)する仕組みです。
例えば、東京都内にマイホームを持つAさんが、地方への移住を機にこの制度を利用する場合、AさんはJTIと契約を結び、JTIがAさんの家を借り上げます。
そしてJTIは、新たな入居者Bさんを探し、BさんにAさんの家を貸し出します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 仕組み | JTIがマイホームを借り上げ、入居者に転貸。空室時や入居者の家賃滞納時も、JTIが所有者に一定の家賃を支払う。 |
| 契約期間 | 終身(任意の時期に終了可能)で、マイホームをJTIに貸し続けることができます。 |
| 受取家賃 | 入居者がいる場合は、JTIが決定した家賃の85%を受け取れます。空室の場合は、JTIが決定した家賃の約60%(物件によって異なる)が支払われます。 |
| 支払開始 | 最初の入居者が入居した時点から家賃の受け取りが始まります。 |
| 入居契約 | 入居者との契約は3年以上の定期借家契約です。 |
| その他 | 礼金・更新料、敷金はありません。 |
| 利用条件 | 物件の所有者が50歳以上であること、そして物件が一定の耐震基準を満たしていることが必要です。 |
JTIのマイホーム借り上げ制度を利用することで、家賃収入を得ながら、安心して新しい生活を始められるでしょう。
まずは、JTIの公式サイトで詳細を確認したり、専門家に相談したりするのがおすすめです。
JTIを活用するメリット
JTIのマイホーム借り上げ制度を活用するメリットは、空室時でも毎月一定の家賃が保証される点です。
最初の入居者が決まってからは、空室の期間があってもJTIから規定の賃料が支払われます。
例えば、年間家賃が120万円の物件の場合、空室時でも約72万円(120万円の60%)の収入が見込めます。
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 空室時でも毎月賃料受取 | 最初の入居者決定以降は、空室でも規定の賃料が支払われ、安定した賃料収入が得られます。 |
| 入居者トラブルはJTIが対応 | JTIが借上げて転貸するため、家主は入居者と直接関わらず、家賃未払い等のトラブルの心配がありません。 |
| 国の基金による運営 | JTIの事業は基金や収益で運営されますが、国の債務保証基金があり、JTIは基金の登録事業者です。 |
| 賃貸期間は事前に設定 | 定期借家契約のため、入居者の居座りや立退料請求がなく、契約終了後はマイホームに戻れます。所有者は、安心してJTIにマイホームを預け、セカンドライフを充実できるでしょう。 |
JTIは、入居者募集から契約手続き、トラブル対応まで、全てを代行してくれるため、所有者は手間をかけずに家賃収入を得られます。
JTIのマイホーム借り上げ制度は、老後の生活を支える心強い味方となるでしょう。
JTIを活用するデメリット
JTIのマイホーム借り上げ制度を利用するデメリットの一つは、制度を利用するために初期費用がかかる点です。
具体的には、申込手数料として18,700円(税込)、建物診断費用として通常45,000円程度が必要です。
さらに、建物診断で補強や改修が必要と判断された場合は、数十万円から数百万円の費用がかかることがあります。
| デメリット | 詳細 |
|---|---|
| 初期費用がかかる | 申込手数料、建物診断費用、耐震診断費用、補強・改修工事費用などが必要。 |
| 賃料が相場より安い可能性がある | 定期借家契約で空室保証があるため、周辺の家賃相場より安くなる可能性がある。さらに、JTIに支払う手数料として、賃料の15%が差し引かれるため、手取り額はさらに少なくなる。 |
| 空室時保証賃料はさらに安い | 空室時保証賃料は、入居募集時の査定額の下限85%が目安となるため、入居者がいる場合の賃料よりもさらに安くなる。 |
| 賃料の見直しがある | 空室時保証賃料は毎年、家賃は3年ごとの再契約時、または入居者退去時に見直され、築年数の経過などにより減額される可能性がある。具体的には、築年数の経過により、年間0.8%から1.0%程度、家賃が下がる可能性がある。 |
| 初回入居までは保証賃料がない | 空室時保証賃料は、最初の入居者が入居するまでは支払われない。 |
| 一般募集との併用ができない | JTIのマイホーム借り上げ制度を利用する場合、自分で入居者を募集することはできない。 |
| JTIの知名度や集客力に懸念がある | JTIのマイホーム借り上げ制度は、一般的にまだ広く知られておらず、集客力も十分とは言えない場合がある。JTIが委託した不動産会社1社のみの広告となるため、入居者が見つかるまでに時間がかかることもある。 |
| 維持管理費がかかる | 固定資産税や都市計画税、建物の修繕費用、設備の修理費用、マンションの管理費・修繕積立金などは、引き続き所有者の負担となるため、注意が必要。 |
JTIの制度は、空室リスクを避けられる一方で、収益性が低くなる可能性もあります。
利用を検討する際は、これらの点を十分に考慮し、ご自身の状況に合った選択をすることが大切です。
類似・関連する制度との比較
マイホーム借り上げ制度に類似・関連する制度として、「リバースモーゲージ」と「リースバック」があります。
これらの制度は、それぞれ異なる特徴を持っています。
| 制度 | 仕組み | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| マイホーム借り上げ制度 | JTIが家を借り上げ、賃貸として運用。 | 空室時でも一定の家賃収入が保証され、入居者とのトラブル対応もJTIが代行。 | 賃料が相場より安くなる可能性があり、初期費用がかかる。 |
| リバースモーゲージ | 自宅を担保に融資を受け、死亡時に自宅を売却して返済。 | 住み慣れた家に住み続けながら、まとまった資金を得られる。 | 金利変動リスクがあり、長生きするほど返済額が増える可能性がある。相続人に負担がかかる場合もある。 |
| リースバック | 自宅を売却し、買主と賃貸契約を結んで住み続ける。 | まとまった資金を得られ、固定資産税などの負担がなくなる。 | 売却価格が相場より安くなる可能性があり、将来的に家賃が上昇するリスクもある。 |
| 一般賃貸 | 不動産会社に依頼し、貸し出す。 | 相場並みの賃料を得られる可能性が高い | 空室リスクがあり、入居者トラブルは自分で対応しなければならない |
ご自身の状況や希望に合わせて、最適な制度を選択することが大切です。
例えば、老後資金を確保しつつ、住み慣れた家に住み続けたい場合は、リバースモーゲージが適しています。
一方、まとまった資金が必要で、将来的に家を手放しても良い場合は、リースバックが向いています。
どの制度が最適か、専門家にも相談してみると良いでしょう。
リバースモーゲージ
リバースモーゲージは、自宅を担保に金融機関から融資を受ける制度であり、借入金は契約時に一括返済する必要がなく、契約者が生存中は住み続けることができる点が大きな魅力です。マイホーム借り上げ制度が自宅を貸し出して安定した家賃収入を得る仕組みであるのに対し、リバースモーゲージは、老後資金の調達や緊急時の資金需要に柔軟に対応できるというメリットがあります。
事業化の手順としては、まず自宅の担保価値を正確に評価することが必要です。次に、複数の金融機関の融資条件を比較検討し、自身のライフプランに合致するプランを選択します。融資実行後は、定期的な資金計画の見直しと、将来的な不動産評価の変動リスクを十分に考慮した対策を講じることが求められます。また、家族や相続人への影響も事前にシミュレーションし、リスクヘッジを行うことが重要です。
リースバック
リースバックは、所有している不動産を売却した後も、同じ物件を賃借する形で住み続けることができる制度です。マイホーム借り上げ制度が物件を貸し出すことで家賃収入を得る仕組みであるのに対し、リースバックは、資産の流動性を高めながら、住み慣れた住環境を維持できる点が大きな魅力となります。売却によって得た資金を、次の投資や生活資金に充てることができるため、特にライフプランの転換期や資金需要が高まる状況で注目されています。
複数のリースバックを取り扱う業者や不動産会社と相談し、最も条件の良い契約内容を比較検討します。契約締結後は、賃貸契約の内容や期間、更新条件などを十分に確認し、将来的な費用負担や生活環境の変化についてシミュレーションを行います。また、家族や周囲への説明と合意形成を図ることも、円滑な事業化には欠かせません。
リースバックは、短期的な資金調達と長期的な住環境の維持を両立させるための有効な手段ですが、売却後の賃貸契約における金利や手数料、税務面での留意点などにも十分注意する必要があります。
一般賃貸
一般賃貸は、不動産所有者が物件を市場に出して、賃貸契約を結ぶことで家賃収入を得る制度です。マイホーム借り上げ制度では、管理会社などが契約相手となり安定した収益が期待できる一方で、一般賃貸はオーナー自らが入居者を選定し、賃貸条件や契約更新に直接関与できる点が特徴です。
一般賃貸を事業化するための手順としては、まず物件の適正な市場価値の査定を行い、地域の需要や家賃相場を把握することが重要です。次に、物件の魅力を高めるリフォームや設備投資を検討し、競争力を向上させます。入居者募集の際は、賃貸情報サイトや不動産仲介業者との連携を図ることで、より良い条件での契約が実現しやすくなります。
ただし、一般賃貸では入居者の信用調査や、家賃滞納リスク、契約更新時のトラブルといった点にも注意が必要です。これらのリスク管理を徹底することで、安定した賃貸事業の運営が可能となります。
制度の利用で後悔しないための相談窓口
マイホーム借り上げ制度の利用を検討する際には、JTIの公式サイトで詳細を確認したり、専門家に相談したりすることが重要です。
JTIでは、制度の利用に関する無料相談窓口を設けています。
| 相談内容 | 相談窓口 | 連絡先 |
|---|---|---|
| 制度の概要、利用条件 | JTI公式サイト、JTI相談窓口 | JTI公式サイトの問い合わせフォーム、電話番号 |
| 賃料査定、契約手続き | JTI、JTI協賛事業者 | JTI公式サイトで紹介されている協賛事業者へ連絡 |
| 税金、相続 | 税理士、弁護士 | 地域の税理士会、弁護士会 |
| 不動産売買、賃貸管理 | 不動産会社 | 地域の不動産会社 |
| リバースモーゲージ、リースバック | 金融機関、不動産会社 | 各金融機関、不動産会社の窓口 |
| 住宅ローン | 金融機関 | 各金融機関の窓口 |
専門家は、制度のメリット・デメリット、注意点などを詳しく説明し、個別の状況に合わせたアドバイスをしてくれます。
制度の利用は、老後の生活設計に関わる大切な決断です。
後悔しないためにも、専門家の意見を参考に、慎重に検討しましょう。
よくある質問(FAQ)

マイホーム借り上げ制度の利用条件は?
50歳以上の方が所有する家が対象です。1981年5月31日以前に建てられた場合は、耐震診断が必要になることがあります。
JTIってどんな団体ですか?
移住・住みかえ支援機構(JTI)は、国からの支援を受けている一般社団法人です。マイホーム借り上げ制度を運営しています。
賃料はどのように決まりますか?
周辺の家賃相場を参考に、JTIが査定します。所有者には、査定された賃料の85%が支払われます。
空室になった場合、家賃はどうなりますか?
最初の入居者が決まった後は、空室時でもJTIが定める一定の家賃が保証されますのでご安心ください。
契約期間中に家を売却できますか?
可能です。JTIとの契約を終了し、売却できます。ただし、違約金などが発生する場合がありますので、事前にご確認ください。
まとめ

この記事は、マイホーム借り上げ制度、特にJTI(移住・住みかえ支援機構)の仕組みについて詳しく解説しています。
この制度を利用すると、持ち家を貸し出して安定した収入を得ながら、老後の住み替えや移住の選択肢を広げられます。
この記事で重要なポイントは以下の通りです。
- JTIのマイホーム借り上げ制度の仕組み: JTIがマイホームを借り上げ、入居者に転貸し、空室時でも一定の家賃を保証する
- メリット: 空室リスクの回避、入居者トラブル対応の代行、国の基金による運営
- デメリット: 初期費用、賃料が相場より安い可能性、賃料の見直し
- 類似制度との比較: リバースモーゲージやリースバックとの違いを理解し、自身の状況に合った制度を選ぶ
マイホーム借り上げ制度に関心がある方は、JTIの公式サイトで詳細を確認したり、専門家に相談したりして、ご自身の状況に合った活用方法を見つけてください。



コメント