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不動産査定が高すぎる理由と適正価格の見極め方を宅建士・不動産経営者が解説

基礎知識

不動産売却を検討している方の多くが「査定額が高すぎる」と感じる場面に遭遇しています。この現象の背景には何があるのでしょうか?本記事では、宅建士として10年にわたり不動産会社を経営してきた立石秀彦氏が、不動産査定額が高くなる構造的な問題と、適正価格を見極めるための実践的な方法を解説します。

立石秀彦:アップライト合同会社代表。2010年代に沖縄県にて沖縄かりゆし不動産を創業。また建築専門学校で2年間宅建士コースの講師を務める。

不動産査定額が高すぎる2つの理由

1. 不動産一括査定サイトの乱立による競争激化

近年、イエウール、イエイ、リビンマッチなどの不動産一括査定サイトが急増しました。これにより不動産会社間の競争が激化し、媒介契約を獲得するために「撒き餌査定」と呼ばれる手法が横行しています。

私自身、これらの一括査定サイトに登録して他社と査定額を競い合う経験を通じて、高すぎる査定額を提示する会社が増加していることを実感しています。特に全国展開しているフランチャイズ系の不動産会社では、反響獲得のためにバリバリと営業するタイプの会社が多く、競争の中で高い価格設定を出す傾向が顕著です。

2. 宅建業の収益構造に起因する問題

宅建業の報酬体系は「完全成功報酬制」です。つまり、どれだけ丁寧に物件を調査し、正確で適正な査定額を提示しても、実際に媒介契約を獲得し、物件が売却・成約しない限り、一切報酬は発生しません。

つまり、不動産会社のていねいな仕事ぶりは、収益に直結しないのです。

この制度的な歪みにより、「良い仕事をして適正な査定額を出す」より「とにかく契約を取る」ことが優先される構造になっています。この問題は国の制度そのものに根ざしているため、一朝一夕に改善できるものではありません。

高すぎる査定額を信じるリスクとは

不動産査定が高すぎると、売主には大きなリスクがありますが、不動産会社にとってはそれほどリスクになりません。この点もしくみを押さえておいてください。

売れ残りによる悪循環

査定額が相場より高すぎると、物件が売れにくくなります。現在はSUUMOやライフルホームズなどのポータルサイトの普及により、一般の方でも相場価格を簡単に把握できるようになりました。そのため、高すぎる価格の物件は敬遠され、売れ残りやすくなります。

売主だけが損をする構図

問題は「売れ残って困るのは売主だけ」という点です。不動産会社は自社の物件ではないため、売れなくても直接的な損失は少なく、むしろ長期契約による広告効果や見込み客獲得のチャンスとして捉える場合もあります。

私が実際に大阪府と栃木県宇都宮市で行った調査では、大阪府では4社中2社、栃木県では4社中3社の査定額が明らかに相場より高いものでした。つまり、半数以上の不動産会社が高すぎる査定額を提示している実態が浮かび上がります。

さらに深刻なのは、長期間売れ残った物件は最終的に「ダンピング」を余儀なくされ、相場よりも安い価格でしか売れなくなるケースも少なくありません。高い査定額に飛びついた結果、最終的には相場以下の値段で売却することになるという皮肉な結果を招くこともあるのです。

適正な査定額を見極める方法

 しかし、一般の方が不動産会社から提示された査定額が正しいかどうかを判断するのは簡単ではありません。最低限確認しておきたいのは、SUUMO・LIFULL・ホームズ・アットホームなどのポータルサイトに掲載された類似物件の価格です。できるだけ自分の不動産に近いエリアの物件価格をチェックし、相場から大きく外れていないかを確認してみてください。

さらに正確に相場を把握したい場合は、「全国地価マップ」を利用します。

サイトを開いて「固定資産税路線価等」もしくは「相続税路線価等」をクリックすると、注意書きが表示されるので「同意する」をクリックします。

その後、住所を入力し見たいエリアを検索してください。土地の前に矢印と数字が表示されますが、この数字が固定資産税路線価です。

土地の前の道路に書かれた数字が路線価

固定資産税路線価は公示価格のおよそ70%程度に設定されており、公示価格は相場の価格より1割ほど低いと言われています。そこで、以下の式を使ってざっくりとした実勢価格を求めることができます。

実勢価格 = 固定資産税路線価 ÷ 0.7 × 1.1

この数字(実勢価格)は1平方メートルあたりの単価です。土地の面積(平米数)に単価をかけると、おおよその土地の価格を求めることができます。

一方、土地に建っている建物(いわゆる上物)の価格は自分で正確に算出するのが難しいため、固定資産税の納付書に記載されている評価額を参考にしてください。その評価額を0.7で割り戻すと、おおよその実勢価格に近い数字を得ることができます。

土地価格も同じ方法で出してしまってもOKです。

このようにまずは自分が売却したい不動産の大まかな価格を把握し、そのうえで不動産会社が提示する査定額と比較するようにしてください。

実際に不動産会社と打ち合わせや相談をする段階では、「どのような取引事例を参考に査定を行ったのか」という根拠をしっかりヒアリングしてください。そうすることで、自分が算出した価格と差異がある理由を確認したり、査定の裏付けが可能になります。

最終的には納得感のある査定書を提示してくれる不動産会社を選ぶべきでしょう。とくに「不動産査定額が高すぎる」と感じた場合は、こうした手順を踏んで自分なりの根拠をつかんでおくと、より安心して売却を進められるでしょう。

信頼できる不動産会社の選び方

都市部であれば、三井不動産リアルティー、東急リバブル、住友不動産販売などの大手を選ぶのが無難です。大手不動産会社は担当者による実力のばらつきが少なく、コンプライアンス意識も高い傾向があります。

地方や特殊な物件の場合は地元の不動産会社に依頼することになりますが、その際は担当者の人柄や知識量をしっかり見極めることが重要です。

役職者を選ぶ

不動産業界は人材の入れ替わりが激しく、経験の浅い担当者も少なくありません。そのため、可能であれば役職がついている担当者を選ぶことをおすすめします。役職者であれば、一定の経験と知識を有しているはずです。

囲い込みに注意

高すぎる査定額を提示する不動産会社の中には、「囲い込み」を行う会社もあります。囲い込みとは、他社に物件情報を出さず自社だけで取引を完結させようとする行為で、これにより売主は広く買い手を募れず、結果的に不利な条件での売却を強いられるリスクがあります。

契約前には、物件情報の流通経路を確認し、レインズ(不動産流通標準情報システム)への登録や他社への情報提供をしっかり行ってくれるか確認しましょう。

なるべく役職がついている人に相談する

またこれは裏技的なコツですが、新人や役職がついてないヒラの職員ではなく、役職者に相談するのがいいでしょう。なぜなら、不動産業界は人材の入れ替わりが激しく、経験の浅い人もかなり多いからです。

それなのに、求められる知識は法律、建築、生活情報など幅広く、本来十分な経験と知識が必要な業務です。

そこで、せめて役職がついている人を選ぶようにしてください。役職者であれば、ある程度の業歴や経験を有しているはずです。

不動産の囲い込みにも注意したい

高すぎる査定額をあえて提示してくるような不誠実な不動産会社は、他社に物件を紹介せず自社だけで物件を独占する「不動産の囲い込み行為」を行う可能性があります。

「囲い込み」とは、自社が買主と売主の両方から仲介手数料を受け取るため、物件を抱え込んで市場に出さないことを指します。

囲い込みが行われると、市場に情報が流通しにくくなり、売却期間が長引くことになります。それだけならまだしも、売主が「いい加減に売り切ってしまいたい」と感じたタイミングで、買取業者などに安く買い取らせるパターンもあるため、注意が必要です。

このように「不動産査定が高すぎる」ケースでは、囲い込みリスクを一定程度は頭に入れておきましょう。業者選びの際には、物件の流通経路をしっかり確認し、他の不動産会社にもきちんと情報を提供しているかをチェックすることが大切です。

まとめ:査定額が高すぎる場合は慎重に判断しよう

「不動産査定額が高すぎる」という現象は、不動産一括査定サイトの普及と業界の収益構造に起因しています。立石氏の経験では、査定額を比較すると半数以上が相場より高い傾向にあります。

査定額が高いだけで不動産会社を選ぶのではなく、以下の点に注意することが大切です:

  1. 複数の方法で相場を確認し、査定額と比較する
  2. 査定額の根拠を具体的に説明してもらう
  3. 担当者の経験や知識、誠実さを重視する
  4. 囲い込みなどの不誠実な手法に警戒する

立石氏は最後にこうアドバイスします。「相場の価格内で収まっており、きちんと売れる価格で査定をしてくれている会社を選ぶようにしてください。また地方の不動産会社の場合は、人材によるばらつきもかなり大きいので、担当者の人柄や知識の量を見るようにしてください」

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